2008.8.15-17
渓から稜線への周遊 寸又渓輔さん
みっちゃん
 
 
 昔は結構キツい釣行もしていたものですが、近年は「今回は軽めで行こう」を合言葉に怠惰なグータラ釣行を重ねていたところ、寸又さんから「今年はどこか詰めましょうよ!」という威勢の良い誘い。
 年に一度は沢を詰めあがるのも良いかと、YesでもNoでもない「うぅん」という生返事をしたまま当日を迎えていた。 もちろん入渓する沢はまだ決まってはいない。
 とりあえず使いそうな装備と台所の残り物食料を車に積んで家をでる。 表に大きなザックが立てかけてある家の玄関前までくると、出てきたのは前日の同窓会で二日酔いとなり無気力化した寸又さんでした。
 行きますか?行きましょうか?とりあえず・・・みたいな挨拶を交わし、内心ホッとした僕。 とりあえず今日は引きずり回されずに済むか。
 
 ふたりとも下山日の午後早々には帰宅しなければならず、幾つかの沢のうち最も近い沢を選んで入渓。
   初日午後は林道と山道を歩いてテント場に到着。
 ん?ここがテント場ということは明日はゴルジュを泳ぐのか、おいおいハンマーとハーケン類は全部車に置いてきたゾ! ついでに冷えたビールのロング缶2本も置いてきちまった。 うーん、こっちの方が痛いな〜、ガハハハ♪
 でもまだビール4缶に酒、焼酎、ウヰスキーもあるゾ!ガハハハ〜♪
 ところで飯は何持ってきた? ナスなんかの夏野菜に米、乾麺、そしてウナギ茶漬けの素だな。 ええっ、俺もだ!
ガハハハ〜♪
【静岡の方言:おだっくい=お調子者】
 
 
 
 

 
 

 
 
 暗いゴルジュの泳ぎでは、「寒いな〜、明るい所をガシガシ歩きたいな〜」とボヤき、ようやく炎天下の広河原に出れば、「暑いな〜、ひと泳ぎしたいや」といちいちグチりながらも楽しい遡行。
 
 上流へと来過ぎたのか、よく釣れるのは小物ばかり。それでもなんとか昼飯に華が添えられ豪華大満足。 これでビールと日本酒はすべて飲んでしまった。 後先考えずに今を楽しむキリギリス的酒配分なので、今夜飲めるのはわずかな焼酎とウヰスキーのみとなった。
 
 装備と食料計画、そして酒配分のイイ加減さに比べタイムスケジュールについてはちょっとだけ神経質な僕ら。 予定外のビバークや延泊はどうしても避けたいところだ。 この沢の最奥に掛かる橋の上に立ち、時計と地図、そして山容を見比べて沢登りの続行を決定。
 
 
 森林限界を越えない沢詰めのラストはガレガレ崩れから尾根にとり付いての倒木と枝薮の密集地帯の急登。 枝を払い、倒木を越え、足をとられ、まさに薮ラッセル。 脚の筋肉はパンパンに張り、腕は枝で擦れ、流れる汗にアブが群がる。その苦労のわりには先へと進まない。ザックから吊るしたはずの岩魚の干物だってもう引き千切れてどこかへ落ちてしまったかも知れない。
 行く先を見上げて 「あそこまで登ればもう青空だ、稜線は近い!」と、何度言ったことだろう。 鼓舞の多用は鼓舞とはならず、むしろ虚言による脱力感となって押し寄せた。 これがある意味、森林での根気の限界、森林限界か!?。
【静岡の方言:でほうかい=嘘・嘘つき】
 
 見上げれば寸又さんの穴開きズボン。 かくいう私もだ・・・苦労をともにしたズボンはなかなか捨てられないものである。 万が一、遭難でもして救助され、他人に見られでもしたらとても恥ずかしい格好。だからイイのだ!? 気をつけるからね。 決してケチとかではないのだ。
 
 稜線に立ってからの帰路は頂を目指すことなく、尾根伝いに一気に車停めまで戻るルート。 派生する支尾根のヒダをいちいち巻くこともないので、これが一番早いだろう。 二日目の夜はコルの窪地にタープを低く張って、唸る風音を聞きながら焚火のない野営となった。
 
 一泊がせいぜいの僕らには珍しく山行3日目の最終日。 昼には車へと戻りたいのについつい余裕をこいて、朝すっかり明るくなって歩きはじめたラクダ尾根の起伏。 執拗に追ってくるアブに対し、寸又さんはブルース・リーのように手拭いヌンチャクをブンブン振り回して応戦。 アブを叩いているのか己の身体を叩いているのか、大いに疑問だがとにかく元気がよい。 疲れるどころか、山行前に二日酔いだった一昨日よりもずっと元気なんじゃないかな。

 

 

 

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寸又渓輔さんの山遊記
 

 
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