2007.5.3-4
黄金週間の2日間
〜 Two days of Golden Week 〜
寸又渓輔
みっちゃん
 
 
 深夜午前様の出発で車停めに到着。 明るくなるまでに2時間程度は寝られるだろうか。 2人で缶ビールをやって早々にシートを倒すと、ずっと向こうの車では煌々とライトを点けて身支度をし始めている・・・あぁ、行きたきゃ行け、俺は眠いんだ。パタリ。
 ようやくウトウトとしたかと思うとパーッと明るくなり後ろから車が横付けしてくる。精一杯の笑顔で紳士的かつエ〜加減な対応をして再び横になる。が、尿意を催してきたので寸又さんには悪いと思いつつもバタムバタムとドアを開け閉めしては用を足す。 ようやく眠れるかと落ち着くと、また先程の釣人の車が近づいてきた。礼儀正しく丁寧に前車との協議の結果を知らせにきてくれたのだ。只々うんうんと頷いて再々度の寝に入ろうとすると、また後ろから新たな車が・・・
 
 辺りはすっかり明るくなった。結局、車からの出発は僕等がビリ。 みんな気合い入りすぎ。
  河原を歩きながら寸又さんが口を開く、
 「年のせいか、日帰りのせいか皆(先行者達)は上流には行きませんね」
 
 
 ゴールデンウイーク、車停めでの他人任せの協議の結果、僕等は一番上流へと追いやられた。意とせず目的の源流域を割り当てられたのだ。 そうなのか?みんな源流は嫌か?チョイ釣りか? 源流派はダメなのだろうか。 そういえば今朝未明の話のなかで、僕等は下流を皆に譲って仕方なく残りの上流域へ行くような口調になんとなくなっていたナ。
 子供の頃、クラスの女の子達がトシちゃん派だのマッチ派だの二分して言い合っていると、いつの間にかヨッちゃん好きな子が自分を主張し難くなってきているのをフト思い出した。
 そういえば渓流釣人との話のなかでは、いつの間にか源流派の僕は争いを避けるためか、本流派の釣人に「釣り下手なもので源流の奴しか釣れないんで」と卑下して答えていた。
「車のエンジン音がすぐ上に聞こえる所で釣ってられっか!」
とは心で思っても、とても口には出せやしない。僕だってたまに本流釣りをやるのだから言えたもんじゃない。
 源流は良い良いと言ってるくせに、かといって皆がみんな源流を目指せば、ブーブー言うに決まってるのだから本当に源流マンてのは手に負えないな。
 まぁ、いい。そんなのがイイのだ。
 
◇ ◇ ◇
 
 当初の見積もりより早く昼前にはテント場に到着したので気分よく、荷物を降ろし天幕を設営したあとゴロッと横になれば、ポカポカと陽があたり微風が眠気を誘って気持ちよい。もちろんこのまま眠り込んでも良い。ここは自由なのだ。
 それでもたまに雲がかかり日陰となり風が吹くと遡行で濡れた脚が寒かった。 さぁ、今晩の食料を釣りにでも行きましょうか。今回はイワナ寿司の材料を持ってきているのだし。
 
◇ ◇ ◇
 
 渓相からして前日帰りの先行者達が竿を出しているに違いない場所ではあったが、いとも簡単にイワナが釣れてきた。 まだ彼等にも慈悲が残っていたか、それともこの渓の懐の深さ故か。たぶん後者であろう。いやいや我等のその抜きん出た釣りテクがなせる業か・・・ガハハ♪
と、ひとりよがりの悦に入る。
 
◇ ◇ ◇
 

今年の初ヤマトイワナ
 
 
□ □ □
 
 泣き尺以上のサイズは流れに戻しながらも、いくらも釣り進まないうちに食料となり得るイワナは揃った。 餌釣りではあまり歩が進まないので、二人とも釣り方を変えてさらに上流へと進んでいく。
 
□ □ □
 
 
 
 
 なかなかの好ポイントなのでお互い両岸に分かれて立ち込む。 僕はルアーで寸又さんは毛鉤で攻める。 何度かキャストするうち、僕のラインがスッと不自然に引き込まれた。 きたっ!と、すかさず問答無用の鬼アワセをかます。 見れば、ほぼ同時に寸又さんも合わせていた。
おおーーーっと、ダブルヒットか!
一瞬、2人で大騒ぎ。
 なんのことはない、僕は毛鉤を掛けて、寸又さんはルアーを釣り上げていた。 宙に浮かんだルアーと毛鉤を真ん中に、お互い顔を見合わせ・・・
めでたし、めでたし。
 
 
 
 
□ □ □ □ □
 
 あまりに岩魚のアタリを味わい過ぎてか、手が振動病(ハクロウ病)になりそうだ。いや、なって病気自慢してみるのも一興か。ヤマトの奴らにやられたって。 でも趣味でやっている釣りなんだから労災申請はできないだろうから、釣り保険適用かな・・・などとバカなことを考えながら納竿。
 テント場までの沢下りは拍子抜けするほどに近かった。
 
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即席新副都心、幕張メッシ
 
 いつもの酔うほどに眼がギラギラの不健全連中に対し、寸又さんも僕も酔うと眠くなるタチなので今晩はとても都合がいい。 テント場では毎度8時に寝入ってしまう通称エイトマンこと寸又さんのペースに便乗。天幕下でゴロリとなればトップロープからの雪崩式バックドロップの如くズブズブと泥寝の世界へと急降下していった。
 
 
 
 昨夜、寿司ネタになる予定だった岩魚は飯盒飯の焦げつきによって幸運にもその生命を生簀ビクのなかで長らえていた。
 流れから生簀ビクを上げて隣の石で囲った冷蔵庫へと無雑作にヒックリ返すとバシャバシャと音をたて、たちまち水は濁ってしまった。
 子供に風邪を伝染され子供より三倍は回復がおそいシンヤはせっかくの連休を布団のなかで過ごしている。そんな彼にこの4尾束なった活き岩魚の画像見せねばと、僕は仏心にも似た使命感を萌えたぎらせた。 シンヤが悔しさで歯茎に血を滲ませながら眼に涙を浮かべている光景を思い浮かべつつウッシッシ♪とカメラ片手に濁りがとれゆくのを待っていると、なんと溜まりには一尾だけ… どうやら他の三尾は囲った石の隙間から逃亡したようだ。 
 
 
 昨日釣った区間は素通りしていき続きから竿を伸ばす。 寸又さんはテンカラ、僕はルアー釣りで進むが、ここまで上流に来るとさすがにルアーを使えるポイントは少ないので途中からはテンカラに切り替えた。もちろん餌を流してみれば釣れすぎる程によく釣れた。
 
 
 
 
 
 釣ったりバラしたりしながら快適に釣りを楽しみながら遡行していき、見上げるほどの大滝まできた。 この滝下では寸又さんが巨大な岩魚らしき奴を掛けて、大捕物の末に倒木下に潜り込まれて0.8号糸を切られるというシーンを見せてくれた。竿の弾力無くしては所詮は0.8号でもこんなもんだろうという幕切れであった。 一体どんな奴だったのだろう、見てみたい、次はどう攻略してやろうか・・・そんな後味こそがバラしの魅力だろう。掛けた全てを釣り上げていたのではツマラナイのだから。
 以前ならここまでで大満足して納竿し帰路となるのだが、今回は気合と釣欲を振り絞ってこの連瀑帯を越えて行こう、という訳で竿を仕舞い登攀具を装着した。
 
 

おぉっ! 重く強烈な手応えに思わず尻が浮くアグラあんぐら〜
 
 
 縁日のハッカ飴屋のようにハーケンを打てばすぐ割れる脆い(もろい)岸壁に手間取ったものの、その上部からは僕等に丁度良いグレードの滝登りが続いて楽しい。
 側壁の膨らみを抱え込むようにして越えていこうとしたが先のホールド(手掛かり)とスタンス(足掛かり)は小さくて微妙。もし落ちれば、独りアトミックドロップかバックドロップかは必至。しかし隣の白く落ちゆく滝内を探れば、そののなかに突破口があって、ここをウォータークライム。ときにはズリ落ち、ときには滝中のホールドやスタンスを探り当てながら滝をクリアしていくのは面白い。身体が鈍っているのは仕方ないにしても、ルートも確保も工夫と創作でもあったりするんだね。 いくつかの滝を水に近いところから越えていき、結構沢登りを楽しんだところでタイムアップ。 連瀑途中であるが、終いにはやっぱり竿を一振りして〆括って帰路に着いた。
 
久々に本来の用途に使用されたシュリンゲとカラビナではあったが、帰りにはまたお土産用タラの芽採りの投げ縄代わりに使われた。
 
 
 
個人記録
【採取・残置】 【回収】
■イワナ1 ■ハーケン2
■タラの芽4
空缶3 ビニール袋2
ペットボトル2
 
LINK:寸又さんの山遊伝旬なシーズン到来
 

 
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