2004 釣行記 

強制連行

 2004.9.19 小雨のち曇り  みっちゃん  



 土曜夜の車停め、車内のラジオではジャニーズのタレントが喋っている。まだ早い時間には若いアイドルが出演していて、「まだ若いな、浅はかだ」とか「俺ならもう少し気の利いた面白いコト言える」などと独り文句を付けながらも楽しく酒を飲みながら聞いていた。 どうやら夜が更けるにつれて年配アイドルへと 次々にバトンタッチしていくようで、先程とは話すことに深みと味わいが出てくる。 そうか聴取者の年齢層と時間帯に合わせて出演者が変わっていくんだな。フムフム。 当たり前であろうことに妙に関心しながらも、ついつい深酒をしてしまい、持ってきたあるだけの酒を飲み切ってしまった。

  酔ったおかげで途中で目覚めることなくグッスリと眠った。頭がボ〜ッとして鈍い朝、ヘッドライトを照らして歩きだす予定ではあったが、それはもう必要ない明るさになっていた。ちょっと寝坊したかな。 今回は移植放流が目的なので釣場へのザックは軽いのたがその分、いやそれ以上に頭と身体はズッシリと重く、辛い歩きはじめであった。 カエシのない釣針での餌釣り。  いざ釣って運び、そこでの繁殖を期待するとなると、効率と労力を考えて“小さな純粋ヤマトイワナを数多く釣りたい”。 最初の1匹目は10cmほど。いつもの釣りと違い、小さな岩魚ほどニンマリと喜んでしまう。 その後、水面下に見えても釣れないチビ岩魚を相手にいたずらに時間を費やしてしまい寂しい釣果。 さすがに1匹だけじゃあ運ぶ気力が湧いてこない。 

どうしたものか.....と、思っていたら小さなポイントから26cmほどの奴が釣れて、これで2匹。 「まあ、運ぶのに軽くって良いか」と、釣場終点となる毎回釣れない淵へと最後の餌を投げ入れた。竿を置き、2匹のヤマトイワナを入れた友鮎バッグを流れに沈め、用を足したあと輸送準備にザックを整理する。  予定時刻より遅れての納竿となったが、置いてあった竿を仕舞おうと無造作に上げるとグワンとしなる。いい加減な置竿で根掛かったか!? いや違う、水中には激しく回転する物体! あ゛っ、釣れてる。 が、タモはもう仕舞って手元にない。竿のしなりをそのままに慌てて場所を探して陸へと引きずり上げた。

 

 
 おおっ、デカい。しかもシミ(白斑)ひとつ無い立派なヤマトイワナである。素早くメジャーをあてがうと、惜しいかな40足らずの38cm。 しかしこの魚体を前にして嬉しいと同時に「しまった、やってしまった」と、いう複雑な気持ち。 そう魚体が大きければ、さらに大量の水を担いで運搬しなくてはならないので重く辛い。
 ここまで生き延び身体を大きくしたコイツだ。きっと素晴らしい遺伝子を持っているに違いない。と、自分を慰め励ましつつビニール袋に沢水を入れ、大きさがバラバラの3匹のヤマトイワナを沢水とともに背負った。
 
 
 駆けるようにして一気に山道を下り、今度は車を走らせる。 一旦、本流筋の流れに生簀ビクを浸して魚を休め、自分も休みながら簡単な昼飯をとる。 さぁ、これからが大変だ。下ってきた分を、今度は登り返さなければならない。 手早く再度ザックへと魚と水をパッキングして背負うとズシリときた。
 同じ重いザックを担ぐにしても、活魚と水を担ぐというのは精神的にも肉体的にもより辛いものである。 背中では冷水が揺れ、予想外に身体が振られ、さらに魚が跳ねるので状態が気掛かりになる。 しかし逆に少しの間でも魚がおとなしくしていると、それはそれでまた心配になってしまう。
 急登途中では大腿部の筋肉が攣って痛い。繰り返しローキックを打ち込まれたキックボクサーのように気力はあるものの脚がついてこないのだ。 もう少しとは分かっていてもペースは落ち、残り時間が足りなくなってきたので予定していた沢への放流を断念し、一旦戻って方向転換。予備策として考えていた隣の沢へ放流することにした。
 そんなこんなで本流の流れで休ませてからロスタイムも含め3時間、3匹の岩魚はよく耐えてくれ、疲れたようであるものの状態良く新たな沢の流れへと消えていった。

岩魚も僕も一休み
 

強制連行
 

 
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