2004 釣行記 

今季ラスト

 2004.9.25-26/曇り  浅川 みっちゃん

 
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 今期ラストとなる釣りは浅川とともにヤマトイワナを求めて源流へ行った。
 いつものように前日の夕方に宿泊地へと到着し、浅川は焚火に、私は食材確保の釣りにと晩飯準備にとりかかる。 そして日没までの一時、私は足跡だらけの釣場で竿を振って実力通りに無釣果で戻ると、パワーブロー(火起こし器)がブンブンとうなる薄暗いなか焚火を前に浅川がひとり微笑んでいた。本当に気持ち悪いくらいに焚火バカな男である。





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 今年は天気予報がハズレて随分と雨に降られることが多かったが、今回は予報に反して雨音を聞かずに爽快な朝を迎えた。珍しく薄明るい早朝のうちから精力的に歩きだし、途中で空を見上げれば雲は薄くほんのりと青くなっていた。 軽装備で足を伸ばし、本日の釣場をより上流とした私達は竿を出すまえから“尺物当然、各自40cmオーバー”くらいの高飛車極まりない腹積もりでいた。
 しかし竿の振りはじめから魚信は渋く、浅川の餌にも私の毛鉤にもほとんど魚は来なかった。 途中から私は毛鉤から餌釣りに変え、枝沢の出合を過ぎたあたりからはポツポツと釣果が出始めた。
 
 浅川が見捨てたポイントで、後からきた私が尺岩魚を釣って喜んで写真やらビデオを撮っていると、その先で浅川が泣き尺サイズの岩魚を釣って何やら叫んでいる。そのときは沢音にかき消されて何を言っているか判らなかったが、追いついて聞くと太っ腹岩魚の口からはなんと特大ドバミミズが出てきたとのこと。 私はその小蛇なみの大きさのまだ動く特大ドバを釣針に付け振り込んではみたが、掛かる岩魚は無かった。 アタリがよく出始めてからしばらく楽しい釣りが続いた。


 
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 ふと先を見ると浅川が一際大きく竿をしならせている。遠目に見ても掛かっているのが大物であると判ったので、私は慌てて駆け寄る。 「タモあるぞ、タモ!」 「慎重にいけ、慎重に!」 笑いながら叫び走っていったが、浅川はやっぱり抜いていた。 太くていい魚体だ。今期、久々の尺物に浅川も嬉しそうである。
 私がノンビリと仕掛けを付け直している間、同じ淵で再度振り込む浅川が餌を突っつく魚信を捉えるが掛けるに到らず。 「まだ居るんだけどな〜、掛からん」と諦めて次のポイントへと淵の浅場を横断していくと、突然歩を止め「いる、いるいる、デカい」と小声で言いながら戻ってきた。どうやら岩陰に魚影を見たらしい。 「よし、ここは俺に任せろ、オマエは先に行け」と戻ってきた浅川を先のポイントへと追いやり、私は丁寧に2匹のミミズを釣針へと掛けて振り込み、岩の下へと流し込む。 先程、浅川が言っていたように確かに餌を食むようなアタリがあるが、そのままジッと待ってみても針掛かりしてこない。 再度、再々度と振り込み、釣糸を張りながら流し、その突っつき食むような感触から観察するようにしてイメージを膨らませる。 投餌してから流しの捕食イメージに合わせて竿尻に力を込めた。と、同時に竿先が大きくしなる。 俺の読みが当たって、、、と言いたいところだが、さほどの自信は無い。ただ運良く偶然に針掛かりしたのだろう。 しかしもうここからはドップリと自己陶酔の世界。岩のエグレに逃げ込まれないようにググーッっと竿の曲線を横倒しにしていく・・・。
 奴はなにを考えている、どう動くか、頭はどっちだ?特に魚体を目で確認するまでの間、竿からの感触を通して実に多くを想像するこの瞬間が大好きだ。興奮のあまり十数センチの小魚を尺物かと勘違いすることさえあるが、その逆はあまり無い。 風や流れの揺らぎに思わず竿を合わせたり、根掛かりを大物と勘違いするような、そんな楽観的誇大妄想癖が釣りキチの絶対条件なのかも知れない。 また来年もこの一瞬のきらめきを感じたくって僕達は渓を歩き回ることだろう。
 
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