2004 釣行記 

イワナのお引越し

 2004.9.4-5  曇り   みっちゃん  

 
 いつものように前日の昼過ぎからの出発。
車でこれから信号機のない川沿いの山道へと差しかかる頃になって、車に沢靴を積み忘れていたことに気付き、慌ててUターン。家までとりに戻って1時間のロスタイムだ。これによって釣場近くでの渓泊りをあきらめ、ずっと手前で泊ることにした。
 
 テント場に着くと日没にはまだ若干の時間があったので、すかさず近くの流れに竿を出す。 ちょっとした流れの弛みで首尾良く塩焼きサイズの岩魚が釣れて、これが今夜のメインディッシュ。 寿司・刺身・唐揚げ・蒲焼き等と趣向を凝らした今季の渓泊りだが、意外にも塩焼きは久々である。 独りしょぼい飯を食らいながら、焚火でテリテリと時間をかけて燻し焼いた岩魚の塩焼きは香ばしくってたまらん旨いっけな〜。
 
 
 翌朝は未明からヘッドライトの明かりを頼りに握り飯を作って身支度をし、まだ薄暗いうちから軽装で歩きだし源流域への距離を稼いだ。 今回は滝上にヤマトイワナを移植放流するのが目的なので、運搬距離を短くするために目的の滝近くまで竿を出さずに歩いていく。
 魚体へのダメージを最小限に確実に数を釣り上げたい為、カエシの無い針を使っての餌釣り。餌はミミズ、ブドウ虫、川虫。当然だがボーズは即、作戦失敗を意味する。 だが私の心配をよそに、竿を振りだして間もなく4匹のヤマトイワナが揃った。しかも27cm〜33cmの型揃いである。嬉しい反面、型とともに運搬時に必要な水も増えるので大変である。
 
 まだ時間に余裕があったので、釣れた岩魚を友鮎バッグに確保して、少しばかりテンカラ竿を振ってみるもののバラしや根掛かり・枝掛かりが多く、改めて自分の釣技の未熟さを思い知る。

 


 
 目的の滝の下で運搬予定の岩魚と一緒に一休みしたあと、滝を大きく高巻いていく。 しかし私は滝越えを甘くみて、横着にも岩魚を入れた友鮎バッグに腰に付けたまま運んだため、中身の水をかなりこぼしてしまった。そして高巻き途中では欲望に負けてヒラタケを採る。 ルンゼ(岩溝)を横切って懸垂下降で滝上へと無事に降り立ったが、運んだ岩魚は弱ってしまっていた。 慌てて友鮎バッグを流水にさらしたものの時すでに遅く、一匹は腹を上に向けていた。
 運搬に際して、酸素をより多く必要とする大きな岩魚から衰弱していくと思いがちだが、実際には(釣獲時のダメージにもよるが)小さな岩魚から順に衰弱していく事が多い。 今回も一番小さな九寸程の岩魚が一番衰弱していて、動き乏しく腹を上にして浮かんでいるのに対し、一番最初に釣獲した尺一寸の岩魚は最も長い時間の運搬に耐えて元気であった。
 
 結局、私は先に見えるもうひとつの滝を越えることなく、この繁殖に(不可能でもないだろうが)不適と思われる滝間の区間に3匹の岩魚を放し、回復不可能であろう1匹をお土産としてザックへと収めた。
 面倒臭くっても、万全の方法でもっと慎重に運搬しなくては・・・と反省。
 
 
 帰りには引き続き下手糞なテンカラをやりながら沢を釣り下る。
 案の定釣れないままに、そろそろ竿を納めようかと思っている頃、岩向こうの流れに毛鉤を盲目打ちして想像を巡らして空合わせする。 グゥン!根掛かりを思わせるような重い抵抗感。 今日はこうして何度も貴重な毛鉤を失くしているのでイイ加減うんざりだ。が、岩陰のその抵抗元は流れに対し不自然に移動していった。うぬぬ、もしや、もしや・・・クンッと二度合わせをし、竿のしなりそのままに彎曲を上流側に向けて、流れへと降りて渡渉していく。 しなった竿先のその先には丸太のように丸々とした岩魚がなおも悠然と泳いでいるではないか。その口角には際どい掛かりの安毛鉤(12個セット315円)。
 
 奴を刺激しないように釣糸を張ったままソロリソロリと近付いて取り込みにかかるが、タモは背中のザックのなか。水面にまで寄った奴を強引かつ手荒く鷲づかみにすると体をくねらせて暴れた。想像以上に太い魚体は掴み難く、私は思わず頭上の岸へと放った。
 急いで岸へと駆け上がり、改めて見ればガッチリ背の張った筋肉質の素晴らしい魚体だった。なにしろ餌でなく毛鉤、テンカラでヤマトイワナを釣ったことがこの上なく嬉しかった。 まじまじとコイツを眺めつつ写真を撮ったりメジャーをあてがったりしていたので、少しバテてきたようだ。いかんいかん。慌ててコイツを元の流れへと戻すと、何事も無かったかかのように悠然と岩陰へと泳いでいった。 少しの間、私はその流れを見つめ、毛鉤の盲目打ちで釣れた光景に想いをめぐらして感動を反芻していた。


 
 
 帰り支度を前傾姿勢でパッキングしているうちに腰が痛くなってしまった。今になって思えば昨日、沢靴を忘れたせいで1時間長く運転をしていたのが悪かったのだろうか、それとも腰を冷やした為だろうか。 ベルトで骨盤を強く引き締めて上体が前傾しないようにソロソロと慎重に沢を下り降りていく。それでもいくらか歩いていくうちに筋肉がほぐれたのか腰の痛みは和らぎ、風景を楽しみながらキノコを探しながら沢を下っていった。 途中の沢脇にある水溜りでは2匹の岩魚がとり残されていて、釣らずとも余った餌を放り投げたりしながらその捕食を観察して楽しんでいった。
 
 

 
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