釣らせてやりてぇ

 2002年9月8日  シンヤ・浅川・私   気温:26℃ 水温:16℃ (AM10:00)

 
 久しぶりに雨が降った。 雨といえば雨女魚!
・・・という訳で単純明快。私達は久しぶりのアマゴ釣りに行った。
いつものように前夜に出発して、車止めで酒盛りする頃にはもう午前様となっていた。 酒を酌み交わしながらの話が弾む・・・そういえば前回の釣行でのこと。
☆☆☆ この日、浅川はガイド役に徹して「シンヤが釣れるまで俺は竿を出さない」と言って竿を仕舞ったまま淵まで案内し、みんなが尺岩魚を釣り上げた後でようやく浅川が竿を出して釣ったのが泣き尺岩魚。 この時、シンヤが言い放った言葉は
 「ア〜ッハハハハ!浅川だけ、ま〜だ尺が釣れてねぇ」「釣らせてやりてぇナー」
・・・実に思い上がった高慢チキな男である。☆☆☆ 
浅川は「そーんなこと言っていやがったのか!」と笑っていたが、すぐ後でシンヤは浅川の手痛いシッ屁返しを喰らうことになる・・・そんなこんなの取るに足らない会話で宴は盛り上がり、夜は更けて行った。
 私は早々にテントでシュラフ(寝袋)に潜り込んだが、イビキ組のシンヤと浅川は車内でまだエロ話に花が咲いているようだ。 しばらくしてやっと寝静まったかと思えば、浅川の放屁で「ゲホゲホッ、おーい車の鍵どこだー」と大騒ぎ! エンジンをかけ窓を開けては、車内の換気をしていた。
 翌朝、5時頃にはもぞもぞと起き始めたが、皆おのずと寝不足である・・・。
 

 
 降雨以前の渇水が酷かったのであろう。川床まで降りると、雨後のわりに水量は少なめであった。 それでも期待満々で竿を振り歩き始めると、浅川と私に10cm以下のチビアマゴが釣れた。
 “これでボーズではない”という安堵感であろう。釣人なら誰しもがそうであるように、どんな型であってもその日の1匹目が釣れればとても嬉しいものである。 ところがシンヤにはまだ本日の初物が釣れていなかった・・・もちろんそれは同情の名を借りたイジメとなってシンヤに降りかかるのだ。 そう、今こそこの台詞を言うチャンスだ。
 「シンヤにも釣らせてやりてぇなぁ〜」 「先へどうぞ」
と、私が言いシンヤを先行させる。ちょっと焦らせてイジメて楽しもうって魂胆なのである。
 単独でない複人数での釣行は必ずしもマイペースでは釣り歩けないのだ。 まぁ、それが短所でもあり長所でもあるのだが。

水量が少ないので遡行は簡単。いつもは高巻いて通過する沢幅狭いゴルジュも水通しで通過して、さらに釣り進む。魚影は薄い訳ではないが、まだ型(魚の大きさ)が釣り上がらない。
 
 そうこうしている間に、シンヤと浅川に17〜18cmアマゴが釣れる。渇水気味のせいか普段よりやや黄金色がかった体色である。 私には相変わらずチビアマゴ達が相手をしてくれている。それを見たシンヤ。すかさずこの時とばかりに、
 「この位のサイズをオマエにも釣らせてやりてぇなぁ〜(笑)」
と、今度は私に言い返す。 「どんどん先の良い所に竿出せよ」と浅川も一緒になって後ろからタチの悪い族車のように私を煽る。
 
 何ヶ所か連続して巨岩を這い上がるような釣場。私は素早く竿を仕舞い岩に這い上がり、シンヤに優しく声を掛けた「登るのに邪魔だろう」「竿、持ってやろうか」そう言って私は上から竿を受け取り、スタスタと次のポイントに移動しては、その竿で2度、3度と投餌する。シンヤが岩場を這い上がって追いついて来ると「おぅ、ワリィワリィ(悪い悪い)」
と竿を返す。 シンヤが残りカスの味噌っカスのポイントで竿を振る間に私がまた次の岩場を攀じ登って待つ。 そしてまた竿を伸ばしたままのシンヤが来て私に竿を渡す・・・そのくり返し。 要は私によってシンヤは上手く貧乏クジばかり引かされているのだ。 昔も今も変わらない、気の知れた釣友同士が悪知恵を駆使して凌ぎを削る。

 浅川はすでに本日最大獲物の28cmアマゴを釣り上げ余裕タップリ。私も仕掛けを新調してすぐ25cmアマゴが釣れた。 まだ10cm台のアマゴしか釣れていないシンヤに反撃の一言。
 「せめてこのサイズをシンヤにも釣らせてやりてぇな〜」ニヤリ♪
昔ながらの悪童どもの気遣いも容赦もない、逆転また逆転のシーソーゲームである。

 

山葵とアマゴ
 この釣場区間のフィナーレは私達が“釣り堀”と呼んでいる好淵。 なんと、3人揃って竿を出せば、3人とも同時に釣れるトリプルヒット! これを仕掛けが絡まないように取り込んで、お互い顔を見合わせてニヤニヤ(笑)。 「まさかぁ〜」と竿を振った2投目でも、シンヤと浅川に25・26cmの良型が釣れてなかなか面白い。竿を振り飽きてきた私達が本日最後を締めくくるには丁度良いポイントであった。 さあ、竿を仕舞って帰ろうかという時、シンヤの竿節が固着してしまう。昼も夜も、沢でも街でも、カチカチの固着じゃないか!
ア〜ッハハハハ!
 ・・・まあ、それでもその後、シンヤの竿はなだめられ擦られ捻られ、なんとか納まってくれた。
 
 帰路には、先程のにわか雨で元気一杯になったヒルが群れる山道を登って車に到着。
着替えると出るわ出るわヒル、ヒル、ヒル。シンヤの片足には14匹ものヒルが取り付いていた。
それでもタイツのおかげで血を吸われたのは、シンヤも私も2ヶ所のみ。バカなが姿の浅川にいたっては無傷で帰還した。
 今年の釣りは今月でおしまい。 渇水の今、次の雨を待っているともう禁漁期となってしまいそうだ。 まぁ、それもイイっか。
 

 
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