男三匹!ガキ大将

 2002年5月12日  寸又渓輔・シンヤ・私  

 
 金曜日は雨で土曜日も雨混じりの天気。しかし日曜日は降水確率20%の予報。 
私達サンデーアングラーにとっては絶好のチャンスである。
 「どこへ釣りに行こうかなぁ〜♪」 そう思い巡らせていた金曜の夜、近所の釣友である寸又渓輔さんから電話があった。
 「イイ具合に雨が降ってるね」 お互い気持ちは同じで、話はすぐにまとまった。
 ここで少し触れておくが、寸又渓輔さん(以下、渓輔)は古くはそれぞれのバカなが隊員達と同じ小中高校をともにした一学年下の後輩である。 しかし渓流釣りのキャリアは私達より長く、体力・釣技ともにバカなが隊の及ぶところではないのである。 昨年、インターネットを通じて再会を果たし、今回は初めて一緒に行く釣りとなる。

 釣場に向かう土曜の夜、車内では地元の気心知れた者同士で昔話やらバカ話やらで話が弾む。 暗い山道をカーブしての下り坂。 前を走る車に続いて私達が左折していくと、
 シンヤ 「おおっ、パトカーがいるぞ!」
  私  「ホントだ・・・」
ウウゥ〜〜〜! パトライトがチカチカ! 『停まりなさーい』の声
「あちゃ〜」 車を停めると、後ろからオマワリサンが近付いてきた。
昔からイタズラ小僧だった私達三人は何かと後ろめたい過去を持っているので、反射的に緊張してしまう。ところが運が良いのか悪いのか、私達はオマワリサンから予想外の質問と注意を受けたのみ。温かい眼差しで見送られ、車は再発進。 ホッと胸を撫で下ろした。
 
 「ヤバかったなー」
 「雨後の渓流も気をつけろって事だな」
おかげで浮付いた気持ちが引き締まった車内であった。 そしてさらに増幅する笑いのなか目的の車止めに到着。 途中、濃霧のなか手を泥だらけにしながら、ガレた林道上の石を撤去して進んでようやくの車止め到着であった。  晩酌をしてAM1:00過ぎに就寝したが、3時間ほど寝たのだろうか?外はもう明るくなった・・・ 寝惚け眼のシンヤを起こす。
 私 「俺は釣りに行くけど、ゆっくり寝ていてもイイんだよ」
     「日曜日なんだから・・・」

 シンヤ 「バカヤロ!」  
 
 身支度をして、自称“竿抜け区間へのルート”を歩いて川床に到着。
水量は多いが笹濁り程度。 釣師なら涎が垂れるような渓相である。
あれだけの雨で本流は泥濁りなのに、、、なんとも濁りがとれるのが早い沢だ。
 期待に胸を膨らませつつ、それぞれ思い思いの釣り方と餌で竿を伸ばした。
私はまずは川虫を餌に。シンヤはブドウ虫。渓輔はテンカラである。

 まず最初はシンヤが釣った。平坦で波が少ない淵で釣り難いポイントからである。近付いて獲物を覗き込むと、なんと岩魚。しかもニッコウイワナ。 この沢どころか、この水系、この山域には本来いない魚である。
ここでは、『ニッコウイワナ=外来魚』なのだ。
それでも本日1匹目であれば嬉しいものであろう。
シンヤは満面の笑みで 『本日爆釣!』と早々に予告。
 

〜 遡行バランス 〜


◎ 良い

× 悪い
 
 水量の豊富なゴルジュ帯に入り、遡行に釣りにと竿を出したり仕舞ったり、、、ゆっくりと釣りに専念できない為か、ここでは私が1匹のアマゴを釣ったのみ。
 ゴルジュを抜け、次第に穏やかな渓相となり、釣果は私とシンヤの1匹ずつ。
 「渓輔にも釣らせてやりてーなー」 こう言う、天狗になったシンヤがその鼻をへし折られるまで、そう時間はかからなかった。
 
 私が岩を越えていくと、先行していた渓輔が淵の手前部分で引きを味わうかの様にして獲物を取り込んでいた。 釣れた魚は9寸程のニッコウイワナである。 渓輔がこれを撮影しているスキに私がこの淵の落込みから、やはり9寸程の鮮やかなブルーの体色のアマゴを掛け、渓輔に取り込んでもらった。
 渓輔 「オオッ、この沢らしいアマゴっすね〜」
  私 「だろう〜♪」
 同淵で同型でも、外来のニッコウ岩魚と土着のアマゴでは全く価値が違うのである。有頂天になってアマゴを渓輔に見せつける私であったが、この後に大ドンデン返しが待っていようとは、、、この時、知る由もなかった...。
 
 途中で渓輔のオニギリ用の海苔を先輩顔して奪い、海苔ラーメンを作って皆で回し喰い。“渓での飯は格別に美味いのだ♪”この定義に二人のラーメン狂も相槌、舌鼓を打った。 谷が広く快適な釣場となり、私もテンカラ竿を振って行くとシンヤが面白いモノを釣っていた。鯖である・・・??? いや鯖のような背中模様の魚だ。昨年も釣れたのだが、恐らくアマゴと岩魚の混血種ではないだろうか?

 この後、私が尺ほどもあるニッコウ岩魚を釣った。自慢気にシンヤに見せつけ、
 「どうだ、尺あるだろ!」シンヤは一瞥の後、
 「なんだ、ヨソ者か...リリースするなよ」 と吐き捨てるように言った。
 確かに今日は岩魚がよく釣れる。 しかしここは“アマゴの渓”である。もちろん釣れれば楽しいのだが、年々増えていく元々は乱放流されたであろうニッコウイワナの血族を見ると、この水系の人間である私達は胸糞悪い気分でもある。なんとかしたいものだが、今のところ釣れたら持ち帰る事ぐらいしか手立てが思い当たらないのが現実だ。
 

〜 この沢の渓魚たち 〜

この沢の昔からの主

アマゴ
ここ数年で出現急増中

ニッコウイワナ
昨年から出現

混血種?
 
 後半は三人それぞれが川虫・ブドウ虫・ミミズの餌で9寸〜泣き尺(約27〜30cm)のアマゴを釣り、快適で楽しい釣場が続いた。 あまりに良く釣れたので、いつもより遅い遡行タイムとなってしまう程であった。
 ラストは以前から“釣堀”と呼んでいる淵。
瀬尻付近から竿を伸ばし、まずはシンヤが左側を狙う。続いて私が右側に投餌するが2投ほどして竿を納め、そそくさと帰り支度をし始めた。その間、シンヤが淵をグルグルとかき回した末に、23cmアマゴを釣り 「チクショー!」 と悔しがっていた。 釣れていない時には跳び上がって大喜びするサイズのくせに、今日のような日にはこの有様だ。
 最後に渓輔が入れ替わるように私が立っていた位置に立って竿を振った。
渓流釣りをする人なら分かると思うが、すでに先の2人が竿を出して1匹の獲物を釣り上げた淵での竿出しである。圧倒的な悪条件の筈だ。
 
 しかし竿はしなった!
淵はさほど流れが強い訳でもなかったが、獲物は渓輔のすぐ目の前を疾走して落込みへと落ちていった。
 「おーっ、落ちたぞー!」
渓輔を見ると、意外にも冷静な表情で下流へと駆けている。
見れば、かなりの魚体!「デカい!デカいぞー!」
見ているこっちが慌ててしまう
竿は伸び、糸にはかなりのテンションがかかっている
もう一段下に落ちたら、おしまいだ! 私も駆け寄り、取り込みにかかるも・・・
 「あっ、タモが無い・・・」  素手で捕え、魚体を上げた。

 デカい! 精悍かつ美しい“源流尺アマゴ”である。
遂に、ブ厚かった尺の壁を最後にこの男がブチ破った。サスガだ!寸又渓輔。
 
「魚体を見たい」と、お嘆きの貴兄は
寸又渓輔に優しくタッチ♪
 
 結局、渓輔には歴然とした釣技の差を見せつけられてしまった。
今回、釣れた岩魚は全て持ち帰り。
アマゴに関しては、渓輔はオール・リリース。 
バカなが隊はいくらかの美味そうなサイズのアマゴを持ち帰る強欲悪行ぶり。 体力も釣技もマナーも数段劣るバカなが隊であった。
 楽しかった! また遊びに行こうぜ〜♪
 
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