岩魚の誘惑

  2002年9月28・29日  川虫くん・浅川・私  

 
 「今季ラストの釣りに行きたいなー」 「でも俺等じゃあマンネリだな」
 「川虫くんに声掛けてみようか」

・・・という訳でこの漁期最終となる週末は川虫くんと大井川支流に入渓した。
 
 しかし大井川水系はずっと渇水状態のため、この土曜から自主節水なのである。 そのくせこの週末には、二つ玉低気圧が日本列島を挟みバッチリと雨の予報である。なんともタイミングが悪い。 当日は降雨中の出発に躊躇したが、川虫くんの「俺が晴れ男だから大丈夫っしょ!」の根拠なき楽天的な言葉に励まされて“ダメで元々根性”で雨のなか車を走らせた。 それでも南アルプスに差し掛かると、不思議と上流方向には雲間から青空が見えるほどの好天。 車からの歩きでは濡れることを覚悟していたのだが、運良く雨は降らず。 もう暗くなってはいたものの山小屋まで無事にたどり着くことができた。
 
 ここで4泊5日の日程ですでにこの沢で釣っていたオジさん2人組に出会い、今夜の宿を同じくした。 もちろん、私達はすかさずビールを差し入れて最新情報を聞きだすことも抜かりない。 どうやら昨日はドシャ降り雨で、今朝の上流域は泥濁りの激流。このオジさん達は川通しできずに山腹を迷走しながら逃げるようにして、この小屋まで戻って来たとのこと。 そんな話を聞いてしまうと、明日の釣りが期待薄になってしまい弱気になる。 こうなったら飲むしかない!今夜は小屋泊まりなんだから・・・ と毎度の如く宴会が始まった。 酒の肴ばかりの相変わらず貧相な晩飯を食いながら、この県外から来た同泊者と話す。 これがまた浅川が言う事のほとんどがハッタリか自慢話で笑ってしまう。話が核心に触れるともうホラ吹き大魔王だ。相手が土地感のない釣人と判ると、釣れる沢を釣れないだの人だらけだの言ってみたり、全く釣れない沢をアソコは穴場だと吹きまくっている。 それを真面目にフンフンと聞いているこのオジさん達が不憫でならない...でも笑ってしまう。
 
 しかし、如何せん今回は持ってきたビールと酒が少なかった。 ほろ酔い気分となり川虫くんの眼がギラギラとしてきた頃に酒は底を尽き、同泊者の2人組はもう横になったしまった。我々3人ばかりがノンアルコールで馬鹿騒ぎする訳にもいかず、仕方なく床につくがなかなか寝付けない。 ガサゴソとそれぞれ寝返りを打ち、細切れの睡眠をとりつつ朝を迎えた。
 
 

 

 

 

 

   
 私が一番で眼を覚まし、小屋の外へと出て流れを見に行く。 どうやら一晩、雨はほとんど降らなかったようだ。草むらを通って河原に出ると、流れは平水で笹濁り。絶好の条件だ! 私はこの流れを眺めつつしゃがみ込み、ニヤけながら夜明けの一本糞を捻り出した。 スッキリとして小屋に戻り「バッチリ、バッチリ、全てバッチ・グー♪」と皆を起こす。そのまま飛び起き、早々に身支度をして朝飯も食わずに上流へと向かって歩いた。
 
 川床に降りるガレ場。ここは私達が毎回踏み崩したせいか、それとも歩き慣れた為か、いつもより楽にガレを下りて川床に到着。ここから少し上流へと歩いてから竿を振り始めたが魚信は乏しく、冷たい流れからは稀にあるアタリも喰い気のない感じである。 「みんな(岩魚達)産卵期で遡上止めの滝下まで上がっているんじゃないか?」 「・・・という事はその滝下は入れ喰い天国か?」 と想像を廻らせる。前半戦は私が8寸岩魚を1匹釣ったのみで、早いペースで釣り上がった。
 
 そして、待ってました!遡上止めの滝。 手前で仕掛けをチェックして餌を付け替える。川虫くんを先頭に「さぁ、行くぞ!」という時に限って、頭上の枝に針が掛かってしまう...そうそう、よくある事だ。 気を取り直して淵まで、そろりそろりとアプローチ。まずは川虫くんが竿を振り投餌するが、幾つもの魚影はあるのに喰いが渋く、なかなか釣れない。 先程の徒渉で濡れた下半身が冷えてきた頃、ようやく獲物が掛かった。川虫くんはテンカラ調のアワセでこれに対応。少々強引だが、いきなり魚体は水面上に吊るし上げられた。デカい!一目で尺オーバーと判るその魚体!ところが突然、その姿は一瞬にして私達の視界から消えた。
 抜いたのか?緩めたのか?・・・ 
  「あ゛あ゛〜〜っ」  バ・ラ・し・た...。 
    糸がフワッと空中でなびいていた。

 その仕掛けを見るとオモリの部分で糸が切れている。
 「オモリはゴム付きを使うといいよ」と浅川。 そう、浅川は釣りのオモリだけは必ず“ゴム付き”なのである。釣りに関してだけは慎重な男という訳だ。 だが、その後は3人それぞれに尺物が釣れてウハウハと楽しむ。  浅川が粘る川虫くんの竿先を見ると、どうやら獲物を捕えているようだ。慌ててタモを持って駆け寄ると 「う・う・う〜っ、寒っ」と川虫くん。 これは竿を持つ川虫くんの手がブルブルと震えていただけ・・・。ゴルジュ状のこの淵は日陰で、しかも水しぶきが舞うので寒かったのだ。 ここで温かいきしめんを回し食いして体を温め、ついでに岩魚寿司にも挑戦。
 
           
 
 数週間前に川虫くんの釣行記を見て、“オオシオさんの岩魚寿司”の画像が頭に焼き付いていたのである。 しかし今回、温めるだけの非常用レトルト飯を使ったので、見事にシャリで失敗。ボソボソ飯となってしまったので握れずに、岩魚は刺身で食べることになった。それでも捕れたて新鮮岩魚なので、とても美味かった。  9寸〜尺一寸のヤマトイワナが釣れてもまだ淵には悠々と泳ぐ大物どもが見えるが、そうそう簡単には釣れくれないようだ。それに釣りきる必要もないので、ここで一旦竿を納めて下流へと向かった。
 
<無謀にも岩魚寿司を比較してみた>

◎オオシオさんの寿司
美味そ〜♪

×今回、私の寿司
マズそうだ・・・
 
 ホームページ『あまごの誘惑』の管理人である川虫くんとしては今シーズン最後をアマゴで締めくくりたいところだ。 そこで下流に移動し、アマゴ狙いで釣り始めた川虫くんと浅川。 今季テンカラ新人王の川虫くんはテンカラで、浅川はブドウ虫餌で竿を振る。私はというと、キノコを探しつつのカメラ遊びだ。 しかし魚影は確認できるものの、奴等なかなか喰い付いてこない。
 「おかしいなー、居るんだけど喰ってこないなー」と川虫くん。
毛鉤が気に食わないのか? 低水温で産卵期からか?
 この時期、渓流魚は流れてくる匂いに過敏になると聞く。
そう、川虫くん! この場を借りて誤るよ...。
川虫くん... スマン! 
実は、私が誤って上で小便を流してしまったのです。
きっとコレで下流の魚が警戒してしまったんだ〜。

 
 今季最後は岩魚だったね。来季は泊りでアマゴ沢に行こうよ。

 
 
『きのこの誘惑』
 
 帰りはキノコを探しながら歩いて・・・とは言ってもキノコの知識がある訳ではないので、いい加減なものだ。 見るからに美味そうなものは試しにかじってみたり、匂いを嗅いでみたり。なにやら怪しげなキノコまで袋に入れたのである。 大別すると5種類ほどのキノコを採った。
 偶然出くわした知り合いの釣人に見せたところ、椎茸や平茸に似ていて柄とヒダの境目が橙色のものはツキヨタケ!見事に毒キノコであった。 翌日、これも勉強と残りのキノコを研究所に持ち込んで鑑定してもらった結果、食べられるブナハリダケを残し、あとは全て毒キノコ。 私達が面白がって“白チン〇タケ”と呼んでいたモノも猛毒のドクツルタケであった。
 
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