ゴールデンウイーク釣行

 2000年4月28日  吉田・浅川・私  

 
 ゴールデンウイーク2日目。
 「もうすでに渓流は釣人でイッパイなんだろうか?」
そんな不安のなか、せめて歩くだけでも・・・と私達は前夜にX沢へと向かった。 私達の車は目標としていた車止めに到着しようとしていた・・・が!そこにはすでに先行者の車が!
 「ん!?・・・レオーネ(スバル車)だ!」
 「奴だ!」 「渓輔か!?」 「来てるなぁ〜」

ニヤけつつ近付くが、なんか車体の色が違う・・・。どうも近所の釣師の車ではないようだ。 先行者は車に不在であった。
連休とあって、渓泊りで釣りに来ているのだろう。
 
 さぁ、どうしようか。
しかし私達にはまだ奥の手があったのだ。先週、私が拓いた新ルートである。これを辿れば竿抜け区間と予想される釣場へと下降できる筈である。 私達は新ルートの下降口に車を停め、キャンプする事にした。浅川は湿った薪に火を点ける事に執念を燃やし、吉田はただひたすらに飲んだ。
 「なにぃ! 来週、吉田はキャンプ合コンだとーっ!」
 「それじゃあ、バーベQ用の魚を釣らなきゃな〜」
 「釣れるかなー」 「釣人が入ってないかなー」 「渇水かなー」・・・
チョットだけ深酒をしてシュラフ(寝袋)にもぐり込んだのであった。
 
 いくらも寝ていないが、この季節はもう外が明るくなってきてしまう。少々寝坊してしまったが、寝惚け眼で身支度をして新ルートを降り始めた。 途中までは順調に目印の赤布を辿って、なだらかな稜線上を下って行ったが、稜線が漠然とした地形となるとすぐにルートを見失ってしまった。
それでもバカなが隊には慣れた渓である。焦る訳でもなく。
 「ちっと、糞してくらぁ」 「おぅ、俺も!」・・・とそれぞれに散らばって野糞。
 結局、ルートを正確には辿らず、降り易いところを下って、予定のワサビ田跡よりも一尾根下流部へと無事に到着した。 相変わらず浅川はすぐに歯を磨き始め、吉田はもう竿先に仕掛けを取り付けていた。歩くのは遅いが、こと釣りと野糞に関しては素早い男である。
 本日の水量は少なめだが釣りにならない程ではない。新鮮な足跡もないようである。釣場区間が長いので、私達はハイペースで釣り歩き始めた。
最初の1匹がなかなか釣れなかったが、浅川が釣ったアマゴを皮切りにポツポツとアタリが出始め、楽しい遡行がしばらく続いた。 

ガレたルンゼの下降
 
 この沢一番のゴルジュにに突入し、普段は高度感のある壁をへつる様にして高巻く難所も、今回は水深が浅いため、楽々と川通しで突破。そうかと思えば、足場であった水中の土砂が流されてしまっていて、以前より取り付き難くなってしまった岸壁もあった。
 そこで、浅川はここを少し巻き、頭上のスラブ状(ナメ岩)に足場を求め、バランスで乗り越えて岸壁を突破。
 私は水中の足場を使い、大股開きで岸壁へと弾むようにして取り付いてここを突破した。 最後の吉田はどうやって岸壁に移ろうか右往左往して迷ったあげく、私と同じ水面からのアプローチを選択した。 私は内心、『シメタ』と思った・・・
 

喜劇王
 吉田は水中の岩に立ち、左手で岸壁の凸を掴み、股を大きく開き岸壁に足を掛けた。ここから一気に弾むようにして岸壁に跳び移ると同時に体を伸ばし、頭上の凹部のホールドに右手を掛けなくてはならない ・・・がしかし。 しかしである。
 思い切り悪く岸壁に跳び移った吉田は頭上の凹ホールドを得ることが出来ずに、蛙の如く岩に抱き付くようにして張付いてしまった。 これじゃあ、まるで蛇に睨まれたガマ蛙だ! 前後上下左右、身動きひとつ出来ずに、ただ力尽きて淵へと落ちるのを待つのみである。
 
「右上だよ!体を伸ばして右上のガバだ!」
遠くから私が叫んでみても、流れの音に声はかき消されるばかり・・・もう遅いか・・・ 表情は見えず、声すら聞こえないが、吉田が必死で踏ん張っているのがよく判る。 いや、まだ救助の方法はある!
私はザックの中から“フック付きのアブミ”を取り出した!
 ・・・がここで私のなかの悪魔が囁いたのだ。 
    私は一瞬ためらいつつも、カメラもまた手にしていた。
 
よーし、現場に急行だ!
    ・・・ところが、その時、





   
 ・・・落ちた そして爆笑
 
 背面ダイブで落ちた。
私は急いで駆け寄った。 笑みを浮かべて・・・
 
 落ちた吉田はもちろん無傷であるが、ビショ濡れである。
こうなったら、水は冷たいが泳ぐのが一番安全なのだ。
結局、開き直った吉田は淵を泳いで岸壁に上陸。
着替えながら、
 吉田 「おい、今の写真に撮ったのか?」
  私 「あっ!写真撮り忘れたぁ〜」
 ・・・まったくのミスである。
本来なら決定的瞬間である“吉田の背面ダイブ”の画像を、ドーンとこの釣行記に添付できるハズだったのに・・・。
 
 この後、私の釣りは全く振るわなかったが、それよりも何よりも先程のシャッターチャンスを逃してしまった事が悔まれて仕方が無かった。
しかしチャンスはまた来る筈である。 いや、チャンスは自分で作るものだ!
また吉田をドンドン誘い出して釣りに行こう!
 そして、今度こそ・・・ウッシッシシシ♪
 
 そうそう今回のビクの中身はというと、バーベQ用に24〜25cmアマゴを3尾、
22cmアマゴを1尾、そして1束の山葵を持ち帰った。
 
 ゴールデンウイーク2日目で上流部には釣人がいたようだが、なんとか釣りを楽しめた。それ以上に同行した仲間達に存分に楽しませてもらった釣行であった。
 

 
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