前回の釣り残し   2001年7月22日  晴れ   シンヤ ・ 私   

 

 
 カラカラ天気の続く南アルプス南部の3連休の最終日。
バカなが隊のなかでも特に釣技に劣る私とシンヤはボーズ(無釣果)覚悟で入山入渓した。
 シンヤも私も前日まで仕事だったので深夜早朝に車を走らせ、入山点で夜が明けるまでわずかな仮眠をとった。空が明るくなり始め、寝ボケつつも仕度をして山道を歩きだしたが、いきなりの急登に汗が噴き出し、ふくらはぎがパンパンに張る。それでも、時折吹く風が涼しくて気持ち良い。そんな苦しい早朝の山歩きの間でも、いつも通りのバカッ話は途切れることは無い。もちろんネット釣り師達の噂にも話がはずんだ。
 

夏の源流でもバカなが姿
しばらくして、ようやくV沢の川床に到着。
前回、2週間前に釣り残した区間がどうしても気になって、またV沢に来たのだ。竿を振り始めてすぐに砂地に足跡を見つけてしまい気を落とすが、釣り難いポイントも多い渓相だけに、少しは楽しめるだろうと釣り上がって行った。
 釣ったり、バラしたり、足元を魚影が走ったりとチビ岩魚達と戯れた。いや、久しぶりの岩魚釣りのシンヤは完全にチビ岩魚達にもて遊ばれていた。アタリもあり魚影もよく見えるのだが、アマゴ合わせが染み付いているのかシンヤの竿は根掛かりに大きくしなるのみであった。
 
 20cm前後のチビ岩魚達はかなりの確率でニッコウ混じりとなっていてショックだった。 昨年はこのサイズでも、もっと純粋ヤマトがよく釣れたのに...。
ニッコウイワナの方が繁殖力が強い為か、思っていたより早く広範囲にニッコウの血統が広がっていたようだ。
ニッコウイワナとの雑種ヤマトが存在しても良いとは思うが、それによって純粋ヤマトイワナが絶えてしまってはいけないと思う。
ニッコウイワナとの混血ヤマト:白斑があり体側のオレンジ色斑がやけに目立つ

 行程半ばまで来て、遂にシンヤがダウン。
前日の飲み過ぎと寝不足が祟ったようだ。
それでなくても、この天気でこの景色! 
花が咲き乱れ、沢のせせらぎにそよ風が心地良い。
アブなどの虫が飛んで来ない場所さえ見つければ誰でも、ゆっくりと一眠りしたくなる楽園だ。

 すっかり昼寝を決め込んだシンヤを残し残り上半分の釣り場を私独りで釣り上がった。 本日の釣り場の最上部、2週間前にあったスノーブリッジはすでに跡形もなく消え、ガラカラと岩が散らばり、小さな落ち込みが散在する荒れた渓相となっていた。
そこはまさに前回、予定時間をオーバーして連瀑帯を突破して降り立った場所で、浅川が
 「こんなイイ釣り場があるじゃないか! また騙された!」と、言った地点であった。 広さタタミ1畳にも満たない膝までの浅い落ち込みに一投だけと投餌した。
目印がゆっくりと不自然に移動していく...。今頃になってようやく慣れてきた私の遅アワセに鈍く反応する奴がいた。
   出た!
小さな落ち込みだけに魚体が妙にデカく見える!
無事タモに獲り、陸に上げてマジマジと見てニヤける。
寝グセのついた直径30cmのコンパクトタモから頭と尾がはみ出している。今シーズン初の尺物だ。

ドジョウの親分のような魚体
 
 早速、ベストの胸ポケットからカメラを取り出して撮影しようとしたが、どうも作動しない。先程の根掛かりで仕掛けを回収した際に着水し濡らしてしまった為だろう。 スイッチ類をカチャカチャといじりまわして奇跡的に一枚の写真を撮ることが出来たが、その後、カメラは全く作動しなくなってしまった。
 
 今頃ではあるが、改めて身を低く屈めて辺りの落ち込みを丁寧に探ると...いるいる。  極小さな落ち込みで、27cmほどの魚体がゆらゆらとしている。
コイツの目の前に投餌しても反応はするものの食いつかない。
それでも逃げる様子でもないので、ヨ〜シそれではとタモを広げて背後からソッと忍び寄るが、さすがに逃げられてしまって苦笑い。
 この後、この荒れた渓相のエリアから27cm前後の岩魚がアベレージサイズとしてよく釣れたが、尺物を釣った後だけに 『尺以下はリリースだ』 と我ながら仏様のような心で機嫌よくリリースを繰り返した。...が3Bさんがよく言うナチュラルリリースも多かった。 要は“バラし”である。 よし!掛かったと、竿を立ててタモを広げて取り込もうと近寄っていくと、獲物は黄色い腹をチラつかせてギュルギュルッ と尺くらいもある魚体をくねらせて針を外して逃げて行ってしまった。
あぁぁ...自分の下手さ加減に情けなくなるが、楽しい釣りが続いた。
 これらのサイズになると、その全てが純粋なヤマトイワナで細かい擦り傷をつけた
細長い棒状体形であった。(大ちゃんのHPでは、“昔岩魚(ヘビ岩魚)”と書いてあったなぁ)
 
 竿を納め、昼寝をしているシンヤの所に戻って来た。
シンヤ 「おう、どうだった?」
     「俺ゃあ、3回も野下痢をして、朝飯のオニギリの胡麻がもう出てきたゾ!」

   ...と糞の中身まで詳細に報告してくれる。
私も先程までの報告をしながら...

   「いやぁ、悪かったなぁ」
    「短い区間だけど、ずっと上は楽園だったよ」
  
と、言ってニヤリと笑い、ビクから2本の魚体を取り出した。
 「おわっ!」 ビビる、シンヤ。 メジャーで計測すると、27cmと34cm。 カメラは乾いたせいか正常に作動するようになったので、色あせた魚体をパチリと撮影した後、獲物の腸を抜いた。
 結局、ボーズに終わったシンヤは悔しがり
 「今度は体調を整えてリベンジに来たいな」 とのこと。
2人の釣果はグッと差がついてしまったが、美しく快適な源流を満喫してきた。

 
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