山岳渓流・春  2001年4月15日  快晴    私

 

 
 ちょうど一年前に良い思いをした事もあり(あぁ、アイツはイカかった参照)日曜早朝に単身、このV沢に向かった。残雪対策としてザックにアイゼンとスパッツを入れ、片手にピッケルを持って入山し、ひんやりと心地良いそよ風の中、快適な山道を歩いて行った。
途中、休んでいるとあまりの気持ち良さに眠くなってくる
 「ここで寝ちゃってもイイかな?」 とも思ったがイカン、イカンと気を取り直し、また歩き出した。
 谷に入っていくと、そこは一面の銀世界だ。 この時になって初めて私はサングラスを忘れてきた事に気付いたが、もっとショックだったのは雪面にうっすらと足跡が残っていた事だった。
ここまで来る途中も岩にアイゼンの爪跡があったので登山者かとも思っていたが、谷に入り渓へとなおも続く足跡に少々落胆した。
 「う〜ん、今年は一番乗りではなかったなぁ〜」

 渓の雪は腐っておらず、むしろ締まって滑り易い位なので胴長靴(バカなが)にベルト式アイゼンを装着して遡行したが、それでも時折、足を置いた雪面が抜け落ちるので気が抜けない。水中に立ち込んでいるとジンジンと水の冷たさが足を刺し、まだまだ水温が低いのを感じた。
 「去年はココで釣れたなぁ」
 「ここは素晴らしい渓相だなぁ」

と期待タップリに竿を振って行くがアタリすら無く、
魚影も確認できずに昼となってしまった。




 途中、雪面についた獣の足跡を観察しながら歩いていると、なにやら見慣れない足跡を見つけた。 よく見ると人間の掌ほどの大きさで、指の跡もありその先には爪の跡まで残っていた。恐らく、熊の新しい足跡だろう!
思わずピッケルを持つ手に力が入り、辺りをキョロキョロと見回したが獣の姿は無く、眩しいまでの光の乱反射の中、どこまでも雪渓が続いていた。
 南アルプス周辺では陽が高くなると、場所によっては強い風が吹き抜けて非常に竿を振り難くなる。今回も昼頃には、さらに一回り大きなオモリに付け替えて風が弱まる合間を縫って竿を振った。 それでも落ち込み脇の深みからギュルギュルッ としたヒキの約25cmほどのヤマトイワナを釣り上げた。わずかにサビ残りで黒っぽいが痩せてはいない元気なヤマトで、結局これが唯一の釣果となり、この沢で最も貧釣な結果となった。
 無積雪期なら好釣場となっているはずの上流部の渓は雪崩ですっかり雪に埋もれてしまっていて釣場はここまで。 帰りの下りで気を付けていたつもりだったが、雪面を踏み抜き左右の脚が揃ってしまった。 左足のアイゼンの後爪が右膝をかすめた。

 「あっ、やってしまったかな?」
と胴長の右膝辺りを見ると、案の定バッサリと破れている。
 「あーあー、あらら〜」
今シーズン新調したばかりの胴長をもう破ってしまった。
 「怪我をしなかっただけ良かったとするか...」
 往生際悪く帰路の途中、下流の釣場でも少し竿を出してみたが、やはりダメ。なぜ釣れないんだ? まだ水温が低いせいか、雪崩の為か、またはこの渓に魚が居なくなってしまったのか?はたまた単に私の釣りが下手糞なのか?雪渓歩きは楽しかったけれど釣れなかったなぁ〜。 暖かくなって雪が無くなった頃に又来てみれば、その答えが少しは分かることだろう。


 
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