再度挑戦     2001年 9月 2日   曇り時々晴れ    吉田 ・ シンヤ ・ 私

 

 
今回は吉田の熱烈リクエストで先週と同じS沢中流域へのリベンジ(復讐)釣行となった。 先週、吉田は尺アマゴを股下でトンネルして股間で糸を切るという大バラシをやってのけた。それが堪らなく悔しかったらしいのだ。 そりゃあ、そうだろう。
 魚も女も、これぞと思ったら直線一気でガブり寄るのが吉田の持ち味だ。
たとえ土俵際で体をかわされハタき落とされようとも...。
 そして前回、釣行途中でバテてボーズに終わったシンヤも同様に虎視眈々とリベンジを狙っていた。
 
 土曜の夜、林道の車止めに到着すると他の車はなく、今回も幸運なことに先行者は居ないようだった。
この夜は吉田とシンヤのイビキ組をテントに隔離し、私は静かな車中泊。
シンヤはティシュの耳栓でこの吉田の大イビキをなんとか凌いだらしい。
 
 翌朝は順調に遡行開始。
蛇行する平河原を3人で歩いていくと、なんと前方に2人組の姿が 先行者だ...。 
吉田の表情がにわかにサッと曇った。
 「おい、吉田!穏やかにいくゾ」
 「笑顔で和やかにな」

...と吉田に声を掛け、私が先行して行った。
 どうも前方の2人組は私達を待ってくれているようだった。 笑顔で手を大きく振ると、向こうも手を振り返してくれる。どうやら悪い人達ではなさそうだ。

 実に矛盾しているのだが、私は渓流で他人に出くわすと落胆はするものの、情報交換しながら話すのはまんざら嫌いでもないのだ。
まずは笑顔でこの2人組のオジさん達と対面すると、やはり早朝に私達の車とテントを追い抜いて行ったとの事だった。しかしその後、気が引けたようで先行しながらも途中で私達を待っていてくれたらしいのだ。 話してみると目的水域が私達は中流域、彼等は上流域であった為、あっさりと沢の割り当て交渉は成立した。
そして彼等の後ろを少し距離をおいて遡行して行った。途中から山道に入ると多種の茸類が顔を出し始めていて舞茸・なめ茸・シメジなども見つける事が出来た。
 山腹の山道から河原に出てくると、さぁ!ここからが本日の釣場。
先の2人組は山道をさらに上流へと向かったばずである。
 竿を振り始めて少し行くと砂地に釣人のものらしき新しい足跡を見つけた。 「どうも昨日あたりに入っているなー」
大きな好ポイントより小さな穴ポイントに重点をおき、オモリをやや重くしてピンポイントで投餌していく。
 急流脇の小さな渦に投餌すると、
 クンクン!ピャーーーッ
急流も手伝ってかナカナカの引き。
体高のある美しい25cmほどのアマゴが上がった。
ガッハハハハハーーーッ  
一部始終を見ていたシンヤの前で仁王立ちで大笑い!
仲間より一足先に釣果を出してから食べた渓での朝飯はなんとも旨かった。

 続いて吉田もこれと同サイズの岩魚を上げ骨酒用にとビクに入れる。
アマゴと岩魚、相変わらずの混じりっぷりだ、残るはシンヤ。
先行するシンヤは焦るが、こんな時に限ってなかなか釣れないものだ。
 それでもしばらくするとシンヤの竿先が大きくしなりブルブルと震えているではないか!
久しぶりの手ごたえのある引きにシンヤは楽しんでいるのか、なかなか取り込まない。

いや、取り込めないのか? ジリジリと蟹股で下流に移動している。  
 「遅い!遅い!勝負が遅いぞー」
私が叫んだ瞬間、 ピヨヨヨヨ〜〜〜ン
 
テレビでよくあるズッコケ効果音である。実際、そんな音はしなかったが、まさにそんな感じだ。
もう、お分かりであろう。バラしたのだ。 仕掛けがスローモーションのように宙に舞った...


                           みんなで大爆笑だ!

ヒット&リリース王は健在であった。
 「先は長い、まだまだ良いポイントがあるし魚影もある」
と、励まし尚もシンヤが先行し釣り上がって行くと...
アッ!前方から3人組が沢下って来るではないか! この日、2組目の先行者である。
話してみると昨日入渓して、この上流で一泊して、今朝釣りをして沢通しで帰る途中だそうだ。
 「うわー、これからの釣果は厳しいな」
誰もが、そう思った。 確かに、これ以降の魚信は遠のき、チビ魚さえも釣れなくなった。
 「もう、これまでか...」  今になって、先程のバラシが悔やまれるシンヤであった。
そんな雰囲気で流水量を二分する二俣に差しかかった。
吉田は支流、シンヤと私は本流へと、お互い高巻きの手前までの短い区間を攻めた。
 朝に攻められたばかりであろうか、本流の私達は渓相抜群でも釣りはまるでダメ。
魚信も魚影も全く無かった。 待ち合わせた二俣に戻ると、すでに吉田がいて座り込んでいた。
私はニヤリと微笑み
 「おぅ、フテ寝でもしていたか?」
と、声を掛けると彼は不敵な笑みを浮かべ ドサッ とビニール袋を差し出した。
 「まさか!」
中を出してみると、幅のある28cmアマゴと25cm岩魚。
アマゴは尺物リベンジとまではいかないがドッシリとした筋肉質の魚体だ。
 「先行者は支流で竿を出さなかったのかな?」
 「いやぁ、吉田の腕前だろ」

などと話しながら竿を納め、割箸で獲物の腸をグリグリと抜き、せせらぎの中でつかの間の休息をしてから沢を下った。
「な〜に撮ってんだ!(笑)
         バカヤロー」

 
ファイト一発!
君こそ次期“リポD男”だ!
 
...といつもならこれで帰るのだが、まだ釣っていない奴がいる!?
朝に竿を出し始めた地点から再度竿を伸ばして釣り下っていく。
私と吉田が後から竿を振っていくとポンポンとチビ岩魚が釣れる。
 「俺達が釣ってどうするんだ!ア〜ッハハハハ」
そんな会話が先頭を行く者の焦りを駆り立てる...とその時
ツクツク 奴の竿に魚信だ! ピヨ〜〜ン 抜いた!
ヤッターーーーッ!
PM2:00 彼の本日初物ゲットである。
手のひらサイズの岩魚だが今日一番の大歓声が湧き起こった。 
単独ボーズから免れた瞬間だ。 シンヤは満面の笑みでこの獲物をリリースした。
先程まで腐った魚の眼をしていた男が眼の輝きを取り戻した。
朝には謙虚に 「ただ1匹の魚の顔を拝めればいいや」 と言っていた男が貪欲にズンズンと先のポイントを攻めだしたのだ。
これでなければ面白くない! しかし彼の勢いはそう長くは続かなかった。
 
 
 この後、流れは濁流の平川となったが、私は支流出合の清流と濁流の混じるポイントで27cmアマゴと所々でポツポツと岩魚を釣っていき、吉田もボロ堰堤下で25cmアマゴを上げていた。
そしてシンヤの竿は再度魚信無しで果てた。
 先行者2組に会ったわりに全体としてそこそこの好釣果で終わった。
帰路ではシンヤに
 「誰が釣れた釣れないんじゃないんだ!渓を楽しめば、それで充分じゃないか(笑)ア〜ッハハハハ!」
と言って励ましたが、それは彼にとって嫌味にしか聞こえなかっかも知れない(笑)。
 

 
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