渓流界の窓際族
                 バカながを履く男達
     ニッコウ岩魚の血族
                     滅びゆくヤマト
      挫折

                  ...なーんちゃって
 
〜 ヤマト岩魚 〜
 プロジェクトと言うと大袈裟になってしまうが、要は魚であふれる渓流が見つからないので作ってしまえという、釣人特有の強欲なる企みである。
 今回はヤマトイワナを魚がいない(とされている)同水系・同山域・異支流の渓に移植放流しようという計画だ。 私は単身、某沢のヤマト最下流域に行った。
この区間は入渓が容易なので今年は見送ってきたが、昨年・一昨年と型は小さいが純粋なヤマトがよく釣れていた。 今年は例年になく水量が多く安定しているので、 「どれどれ、どんなものか?」 と期待して入渓した。
今回は目的が放流だから小さくてよい、引越先で繁殖できるような数が欲しい。
 
<今回の道具>
アユタンク):
酸素を送るブクブク付き。
ザックに背負いながら移動し、途中で冷却剤の袋を放り込んだ。
ペットボトル):
焼酎の大ちゃん4L。 上部に穴あき。
小物用の生簀ビクとして途中まで腰にぶら下げていた。
       
 
 ヘッドライトを照らしての山歩きで釣り場に到着したが、朝もやがかかり薄暗いので川虫を捕りながら時間をつぶしていると、すぐに明るくなり始め早速、竿を伸ばす。
 軽めのオモリに得意のミミズで小淵に投餌するも、一投目で根掛かりしてしまい、流れに入り仕掛けを外す。ダメで元々と、また同じ淵に投餌すると...
 ググッ、グゥーン と29cmの泣き尺サイズが上がってきた。
当然、このサイズなら...と手に取ると、薄っすらと白斑のあるニッコウ混血ヤマトであった。寸又渓輔さんのHPでは、このニッコウ混血ヤマトをハイブリット・ヤマトと呼んでいました)
 「このサイズでも若干混じっているのか...」
この沢で泣き尺サイズの混血ヤマトを見るのはこれが初めてだった。
ショックである反面、朝一番のこのサイズに嬉しくもあり複雑な気持ちである。
これをアユタンクの中に入れ、もう一度と同じポイントに投餌すると、またすぐに27cmが釣れて驚く。 一投目で根掛かりして私が踏み込んだ小渕から、続けざまに入れ食いで釣れたのである。 これも、朝釣りの面白いところであろう。
 以後、釣りとしては非常に面白く、4時間程で20匹位釣ったと思うが、チビ岩魚達は全て混血ヤマトであった。
 

コイツが悪いわけじゃないけど...

意外にも2匹の泣き尺が釣れた
 
 放流できるかな? と思いタンクに入れた23〜29cmの8匹のヤマト岩魚のうち、自信を持って純粋ヤマトと言い切れるのは、わずかに3匹のみ。あとの5匹は1/4〜1/8ぐらいでニッコウの血が混じるようで、背側に薄っすらであるが白斑がある。 意外なほどの純粋ヤマトの少なさに落胆した。 そして、この捕獲区間の最後の滝まで来てアユタンクをあけてみると、半数の4匹が死んでいるかもしくは、くたばり損ないになっていた。さらに生き残った岩魚に限って、割と白斑の濃い体をしている。
私は言い知れぬ挫折感に包まれながら、生き残った岩魚達を見つめた...
 
 釣れた純粋ヤマトは少なく、そして弱かった...。
 釣る際の針掛かりが深くてダメージがあったのかもしれない。 今回、アユタンクには途中で冷却袋を入れたが、水温計も水替えもなく大雑把な輸送法であった。 水場の移動では生簀ビクを使って頻繁に流水にさらし、水を入れ替えた方が良かったのだろう。 また、手掴みによる魚体のヤケドやヌメリ取れを考えて、グローブを使用した方が良かったかも知れない。そして陸の温まった石は岩魚にとってダメージになるのだろう。
...いろいろと考え、反省した。  そして、アユタンクに確保した岩魚達のうち純粋ヤマト1匹だけを目の前の捕獲水域に戻し、あとはお土産として持ち帰った。 結局、今回の純粋ヤマト岩魚の移植放流計画は輸送直前で失敗に終わった。 皆様、ご意見・アドバイスなどありましたら、お教え下さい。

 さぁ、どうしよう時間が余った。ふと見ると、滝の右側は急な草付斜面となっている。試しにこれに取り付いてみるが、試しに登ってみて良かった事など無い。案の定、途中で進退窮まってしまい、上にも下にも動き難くなってしまう。草の根元をわしづかみにして斜面にへばり付くようにして、トゲのある草を掻き分けながら無理矢理に登った。
 この草付斜面を抜け、ガレを下り、よどんだ淵を胸まで浸かって通過しガレ崖を攀じ登って行くと、、、フェンスが掛かっているではないか! これを利用しない手はない。ハーネスを腰に巻き、アブミを2つ取り出して、このフェンスに取り付き蜘蛛のようにフェンスの上をトラバース(横切る)しながら登って行った。
 これら難所を突破して滝の上に出て来ると、
奥に大滝を控えた素晴らしい景色が広がっていた。
私はこの景色のなかでのんびりと竿を振ることにしたが、ここは釣り場としては4ヶ所に滝壷があるのみで、結果としてアタリも魚影も確認できなかった。 最後の大滝壷では台風並みの瀑風としぶきの中、ビショ濡れになりながらも特大オモリで竿を震わせたが、すぐにブルブルと寒くなり退散した。新品のハンマーを試したいこともあり、帰路は横着をしてボルトを打ち込んで滝横を1ピッチの懸垂下降をして戻った。
そして私は意外なほどのニッコウ岩魚の血統の広がりに落胆し、移植放流できなかった挫折感と共に下山したのだった。
 
皆様の御意見・御感想・アドバイス等をお待ちしています。

 
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