パーフェクト ボーズ    2001年 4月29日  曇りのち時々小雨   浅川 ・ 私 

 

 
 今シーズンいまひとつの釣果の浅川と私は少し早期であるがホームグラウンドの渓流、X沢に向かった。
半日遅れのゴールデンウイークということもあり、私達が到着した土曜の昼過ぎにはすでに3台の車が釣場近くの林道に停まっていた。
林道沿いには釣りの服装で山菜採りをしているオジサン2人組がいたので話を聞くと、どうやら渇水で釣りにならなかったので山菜採りをしているらしい。  「あぁ、やっぱり、、、どうしようか?」...ということで、竿抜け区間のある事を期待しつつ、とりあえず残りの釣人が帰って来るのを待つことにした。
 「日帰りで戻って来るのかなぁ?」
 「入渓に順番待ちなんて、ディズニーランドみたいだな」

などと不安を抱きつつも開き直ってビールを飲みながら焚き火をして待っていると夕刻になって上流方面から2人の釣人が車へと帰ってきた。
 「こんにちは、どうでした? どの辺りでやりました?」
と私達は矢継ぎばやに質問をした。どうやら最上流区間で竿を振り、やはり水不足のせいもあり釣果は厳しかったそうだ。 しかし本日、土曜日に限っては中流域が竿抜け区間として残っているようなので私達は明日の朝を待って入渓することにして車中泊。

 翌朝、期待と不安の入り混じるなか軽快な足どりで川床に降り立つとそこは未だかつて無い程の渇水状態で砂地には足跡のオマケ付き。
休む間もなくすぐに竿を振り始めたが案の定アタリは無く、逃げていく小さな魚影すら確認できぬまま遡行していった。
渇水で遡行が楽かと思いきや、それでも川底の地形が変わっているので昨年と同じルートでは通用しないのがまた面白い。
 途中、瀬際にまとまった形で白骨化した鹿の屍があり、冬の厳しさと
それから一度も大きな出水が無かったことが想像できた。
 「こんな渇水でも梅雨時に増水すると、不思議とアマゴが湧いて出てくるんだよなぁ」
 「そのアマゴは今どこに居るんだろうなぁ〜?」

...とボヤきつつ竿を出していると私の目印が、 ツンツン、 ピューッ
とアマゴ特有の鮮烈な反応に眼が冴える!  久しぶりの鋭い反応になんとも嬉しくなる。
18cm前後の魚体ながらもニンマリと浅川にガッツポーズを決めてやろうとしたが、すでにそこには浅川の姿は無く、遥か先へ先へと火が点いたように竿を振りまくっていた。
追い詰められた浅川は遡行スピード・釣りの集中力、ともにMAXで見ていて気持ちいいほどである。 普段は7割〜8割の力でなんでもこなす浅川だが、この時ばかりは100%以上の全力で渓流釣りをしていた。 しかし情熱とは逆に釣果は上がらず
 「なんでだ? アタリすら無いゾ」 と首を捻りつつ先へとポイントを攻めていった。
私には同じ渓流マンとして今の浅川の心理状態が手にとるように分かる。


片目アマゴ
 焦り、悩み、祈り、流し方を変え、仕掛けをいじり、それでも魚信が無いとあきらめ始めてくる。 なのに同じスタイルで釣っている私の方にはポツポツとアマゴがかかってくる。
 「あぁ、シンヤの釣れない病に感染したかなぁ〜」 と浅川。
午後2:00近くに竿を納めるまで、ついに浅川の竿は魚信を伝えること無く終わった。ここで、この沢で初めてのパーフェクト・ボーズを浅川が達成した。
 「まぁ、トラロープ付きの新ルートを見つけた事とトレーニングした事が収穫かな」
...と言う浅川だったが、

このホームグラウンド渓流での単独無釣果は浅川に少なからぬ精神的ダメージを与えたことは言うまでも無い。
 結局、私は囲炉裏小屋のこけら落としの食材にと23cm、21cmのアマゴ2匹をためらいつつもビクに入れ、16〜20cmの3匹をリリース。 今回のアマゴは太く、体色は盛期の鮮明なものと異なるが黄金色がかって凄味のある色彩であった。山の緑も深みを増してきて、涼しく心地良い遡行が楽しめた。


 
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