むむっ、クセ者じゃ     2001年 5月12・13日  晴れ    シンヤ ・ 浅川 ・ 私

 

 
 今シーズン初の渓泊まりを予定するが、全員集合して出発したは土曜の昼過ぎ。
途中、スーパーに寄ってキャンプ食と翌日の朝食と行動食を買い求めたが、そこは渓流釣りド素人の私達、これから荷を担いで入渓というのに、寿司桶パック・納豆・唐揚げ・おにぎり・パン・ジュース・枝豆に大量のビール・酒・・・ と本能のおもむくままに好きな物を買い、車に積み込み源流に向かった。
 林道に車を停めて、さぁ出発だが、車中に乱雑に積み込んだ荷物をザックに振り分けなくてはならない。それぞれ自分のザックに荷物を詰め込むが、一番大きい私の85リットルのザックに荷物が集中してしまい、この時になって大型ザックを持って来てしまった事を後悔した。
 テント場まで2時間弱とはいえ結局、私は雨ぶたが盛り上がる程に膨れ上がったザックを背に片手に寿司パックの入ったビニール袋を吊る提げての入渓スタイルとなってしまった。 ぞれぞれが無駄に重いザックを担いでの山渓歩きの後、K沢出合いのテント場でのビールは堪らなく美味かった。
 
 夕方、テント場に到着して私はテント張り、燃やし魔の浅川は薪拾いと火起こし、そしてシンヤは誰も期待していなかったが、
「晩飯を釣ってくらぁ!」 とすぐ前の平川で竿を振った。
ところが意外にも、シンヤはすぐに綺麗なアマゴを釣ってきた。
 「この渓は今日攻められたって聞いたけど、案外明日の釣りはイケるんじゃないか?」
ここへ来る途中ですれ違った釣人達の後の入渓であったが、うまく竿抜け区間を釣れば明日はなんとか楽しめるのでは、、、といつもの楽観的見通し。
 この夜は久しぶりの焚き火を囲んでの酒宴に酔いしれた。
また、焚き火でジックリと燻し焼にした釣りたてアマゴは絶品の美味しさだった。
 
 翌朝、二日酔いぎみながらも、もぞもぞとベストを着たりバカなが(胴長靴)を履いたりと身支度をしていると、
 「アッ、やっちまったぁ〜」 とシンヤが言った。
 「何だ?」 私が尋ねると、
 「やいやい、屁ぇ〜こいちまった」
シンヤはバカながを履いた後で屁をこいてしまったと言う。
シンヤのバカながは胸までのロングタイプの為、すぐに胸元あたりから
モワ〜ッ とした臭気が湧き上がってきて、屁をした本人がむせ返り自爆!・・・
 
 前日入渓者の竿抜け区間を予想して、テント場から上流へと
抜群の渓相に生唾を飲みながら、1時間ほどは竿を出さずに遡行して行った。
 途中、シンヤが岩陰にしゃがみ込み渓のせせらぎに紛れてビビビ糞をした。
浅川と私が休憩をしながら待っていると、そよ風にのって流れてくる臭気におもわずお互い顔を見合わせ股間に、いや眉間にしわを寄せる。 しばらくしてシンヤが立ち上がりウエストバッグを腰に締めながら戻って来たので、私がチラリと岩陰を覗くと、帰路のステップ(足場)となりそうな所にこんもりとブツをやらかしてある。
 「帰りはココ、危険だなぁ〜」 と私が言うと、シンヤは、してやったりといった表情でニンマリ... 釣果はあがらずとも、なかなかのクセ者だ。
しかしこの日、本当の曲者シンヤではなかった。

 
 「さぁ、そろそろ竿を出そうか」 という所まで来て、前日の重荷歩行の疲労か、二日酔いの為か、シンヤが早くもバテてダウン。 
み切った空を仰いで大の字になり、昼寝を決めこんでいた。
確かに瀬音と小鳥のさえずりの中、気持ちよいそよ風の吹く渓流での昼寝も魅力的だ。
浅川と私は無理にシンヤを起こすことなく、2人で釣り上がって行き、適度な魚信とともに綺麗なアマゴと戯れつつ小春日和の渓流釣りを楽しんで行った。

 しかし途中から魚信が途絶え、私達が足を置こうとする岩にはすでに濡れた足跡が!?
この渓流沿いにある上の山道から、この足跡の曲者に抜かされたのであろう。
上流へと釣り進むほどに濡れた足跡は濃くなり、いかにも渓を歩き慣れたステップをきっている。
 失意のなか私達はここで涙を飲んで、予定より早く竿を納めて引き返し昼寝充分のシンヤと合流した。
 
 早朝に釣りとばした区間に戻り竿を出していると、巨岩の上の水たまりに、うようよと無数の小さなオタマジャクシの群れを見つけた!三人でまじまじと、この水たまりを覗き込み、
 「釣り針につけて餌にしたら釣れるかな?」
 「さっきの蛇を捕まえてきて放そうか!」
 「小便かけちまおうか」 「チンチンが腫れるゾ!」

・・・などと童心に帰り、小学生レベルの会話をする。
試しに、ちぎったバンの切れ端を浮かべてみると...
 
ア〜ハハハハ、一斉に笑いがおきた!  
オタマジャクシがパンに群がり頭を突っ込むようにして食いついている。
その勢いで浮いたパンの欠片がクルクルと回転して、あちらこちらへと動いているのだ!

 
 このあと、時折釣り下りながらテント場に戻り、ザックに荷物をパッキングして昨日降りた山道を登り返し車へと帰った。 途中で先程の曲者の物らしき車両を見つけたので、そのナンバーを見ると先月にも先を越された渓流マンの物であった。
 「うわっ、またコイツかぁ〜」 と思わず唸る。
入渓点の地形からして、意図的な頭ハネだったかは定かではないが、今度、この人に会ったらゆっくりと話をしてみたい。  きっと凄い渓流マンのはずだろう。
 
 車で林道起点まで戻って来ると、偶然に釣行帰りの名人Sさん達に出会った。
話を聞くと、Sさん達は一泊二日で、支流→本流→支流→支流源流のバリエーション・ルートを泳ぎアリ、ナメ岩のへつりアリの大変面白い釣行をしたようだった。
結局、私達の釣果は酒の肴にと23cm位を1人1匹、計3匹のお持ち帰りと、またしても貧釣果であった。
今回、日帰りコースをわざわざ大量のビール・酒と食料を担いで渓泊まりをしたが、
このとてもスマートとはいえない釣行が、釣るためでなく楽しむための釣行でなんとも面白かった。
 

 
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