電脳釣り師、自然に還る 
2001年3月18日 雨のち晴れ   浅川 ・ 私

  


 先週、私が一足先に初物を釣った為、他のメンバーはいてもたってもいられないようで今回、「俺も久しぶりに筋肉痛になってみたいよ」 と言う浅川と私で釣りに出掛けた。
二人共、先日までの禁漁期間はパソコンを使って渓流釣りのホームページを見たり作ったりで、すっかり自然から離れた電脳釣り師となっていた。
 この日もバソコンで見た天気予報から推測するに、夜の暗いうちだけ小雨がふるだろう、という実に楽観的見通しのもと、土曜夕方の本流釣りへGO! ということで車を走らせた。 浅川は竿を振る前から
 「尺だ!爆釣だ!」 と気合ばかりが空回りしているが...。
 しかし、雨雪が降るなか残雪に足跡だらけの本流で竿を振り、見事なまでにボーズ(釣果ゼロ)。 “明日があるさ!” と明日の入渓のために車で走っていると道の真ん中でハイエースらしき車が立往生していた。
「釣人かな?」 と近づくと中から一人、ネクタイ姿の人が出て来た。左の前後2本のタイヤがパンクしたまま走ったのだろう、ホイールまでがガタガタで泥溝にはまりスタックしていた。聞くと、仕事で静岡に来て迷ったまま地図を見て峠越えをして山梨県に帰ろうとしたらしいが、鋭利な割れた落石のある雪の林道上を走り、この有様だ。
 暗く雨の中、牽引して溝から脱出させて一緒にタイヤを交換したが、この天気でこの状態だ。この車を諦めて運転手を宿泊できるロッジに乗せて行った。結局、私達は車中泊の予定だったがロッジに食料と酒を持ち込んで、ここでゴロ寝する事となった。
  翌早朝AM4:00に起きて出発し、入渓点近くで車を止めてウトウトしつつ夜明けを待った。 外が明るくなり始め折からの雨も止んだようなので出動したが、N沢の川床に立った頃には立派な雨となっていた。
「やっぱり山の天気はパソコンじゃあダメだな、現場判断だ。」
 と空を見上げつつ残雪の渓流を詰めて行った。 浅川は相変わらず100円ショップで買ったビニール製のレインコートを着てクラゲのようだ。 それに対し、私は10倍近い値段で優越感たっぷりのリッチな980円雨合羽スタイルで、 お互い蒸れ蒸れになりつつ上流を目指した。 
 渓に落差が出始め、竿を振り始めた頃には雨に加え風も吹き始め、投餌し難い上にアタリも感じられず、あれほど強気だった浅川もどんどん弱気になっていった。 そのうち、やや重めのオモリに替えた私が緩やかに逆流する流れから、きれいなニッコウイワナを釣り上げた。この辺りからポツポツと小さなイワナが姿を見せてくれるようになって、なかなか釣れずに悩んでいた浅川もようやく可愛らしい初物イワナを釣り上げ、 「ボーズだけは、なんとか免れたか。」 と安心した。 盛期にはアマゴや各種イワナがゴチャ混ぜにに釣れるこの沢も、今回は
全てサビの入っていない綺麗なニッコウイワナであった。
とかく地元ではヤマトより繁殖力の強いニッコウイワナを嫌う傾向にあるが、私達はそれ程はこだわらず、この早春の釣果を素直に喜んだ。
 
  腐った雪をズボズボと踏み抜きながらさらに遡行して行き高度感のある高巻きとなったが、以前はへっちゃら程度のものが久しぶりで妙に恐く感じた。 天気は何時の間にか回復し先程までの雨が嘘のように上がり晴天と なっていたが、蛇行する渓の方向によっては風が吹き抜けるので昼には竿を納めて、おにぎりを食べて渓を後にした。
  結果、二人で8匹ほど釣り21〜23cmの3匹をビクに入れ、あとはリリースと寂しい釣果であったが、自然を楽しみながらシーズン初のイワナの魚体を拝めただけでも良かったとするか...
 

 
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