ある日の渓流釣り

2000.9.17  浅川 吉田 私

 

 前日の土曜日 夜12時頃、林道終点の広場に到着して、浅川・吉田のイビキ組は車で寝る。 私は2人のイビキを避けて工事現場の休憩小屋の畳で快適に熟睡した。 朝5時頃、起床し支度をはじめる。「まだ、半袖では寒いが、山を下り始めれば、すぐに暑くなるだろう」 と林道から川床へと下りだす。
 途中、吉田が岩陰で野糞をしたが、待っている私達が幾らも休憩にならないほどの早糞であった。 私「相変わらず早いなぁ、音速の貴公子だよ」 浅川「ケツ拭いてないんじゃないか?」 吉田「バカヤロ!」と、いつもの調子でバカ話をしながらまた歩きだした。 1時間後、私達3人は汗だくとなり、やや朝霧のかかる山深い清流に立っていた。休む間もなく、泥まみれの軍手を洗い、足元のヒルをむしり取り、すぐに竿をのばす。 一昨日、雨が降ったはずだが水量は少なく、遡行はし易くて良いが釣果は苦戦を強いられそうだ。私達は1週間前と同じポイントから釣り上がっていった。
 
竿を振り始めてすぐにゴルジュ帯(ゴルジュ=両岸壁が狭まった所)に突入した。X沢の核心部だ。吉田が先頭を行き竿を振る、渓相は抜群だが毎回釣れない大淵だ。 ググッ・・意外にも竿がしなる!吉田の強烈なバカ合わせでも、獲物はまだ姿をあらわさない。

「おおっ? まあまあの大きさか?」そこは、取り込みの上手さでは、定評のある吉田。スーッと竿先を上げると獲物が水面に姿を現す。後はもうこちらが見ていてつまらない程、簡単にススーッと取り込んでしまった。早速、私は岩をピョンと跳び越え、駆け寄って獲物を覗き込む。 

27CM、良型アマゴだ。この沢らしい、きれいな色をしている。悲観していたが、ひとまず釣れたので、皆 安堵の表情だ。吉田は、子供のような笑顔で、針を外している。普段は煩悩多き男だが、釣りの時だけは純粋な心を取り戻す様だ。

 「この位のがひとり2、3匹釣れれば、いいなぁ」と浅川。 今回はアブミを1度だけ使ったが、水量が少なかったので1度も高巻かずに竿を出したままゴルジュ帯を川通しできた。
 ゴルジュ帯を突破し、陽のあたる開けた渓に出た。涼しい微風が吹き気持ちよく、昼寝でもしたい位だった。20CM弱のリリースサイズの奇麗なアマゴ達と戯れながら、快適に釣り上がっていくとさらに明るく広いゴーロにでた。ここは遡行し易く竿も振り易いが、意外と侮れない区間である。大小の2つの流れがあり、皆が思い思いに竿を振っていた。私は細い流れの小さなポイントに狙うでもなくなんとなく糸を垂らしていた。風が気持ち良く、小鳥はさえずり、川の流れに立ち軽い眠気を感じていた。 ふと、吉田の方を振り向くと、ブルブルッと竿をしならして釣れているじゃないか! 「俺ももっと、いいポイントでやらなきゃ」と私は思い直し竿を上げた、その時!私の竿にもブルッときた。 キラリ、と魚影が踊る。大袈裟と思ったが、私は基本どおりにタモを使って取り込んだ。 すると「おーい、浅川も ええの上げたぞー」と吉田の声。見ると、浅川が興奮ぎみにニヤけているではないか! 「トリプルヒットだー」 3人共、駆け寄った。それぞれの獲物を突き合わせる。 吉田25CM、 浅川26CM、 私20CM ・・・・・。「俺んのだけ、ちっちゃいぢゃないかー」笑いがおこる。私を哀れに思ってか、その後吉田と浅川が先の好ポイントを譲ってくれるのだが、釣れるのは小物ばかりであった。 それでもアタリが多いので切迫感なく快適に釣り上がっていった。
 いよいよ最後の好釣場まで来た。ここは落差があり、複雑な流れを持つ淵が連続し、支流が落ちこむ場所である。そして何よりも、前回(先月)ここで、私は尺アマゴを釣っていた。皆、自然と気合が入る。 しかし、そうそうウマくはいかないもので。前回のような良型の獲物には出会わなかった。 そして私達が「ツリボリ」と呼ぶ最後の淵で4匹釣れ、2匹はリリースしあとの2匹は魚篭に入れ、結局、21cm〜27cmのアマゴ、計12匹位を持ち帰った。 リリースもかなりしたが、それでも明らかに殺生し過ぎた。
 尺物こそ出なかったが、天気も良く快適で楽しい釣行であった。


 
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