あぁ、アイツはイカかった
2000.4.  私 


 今週また今週またV沢に来た。というのは先週、浅川と来た時は雪が深くて目的水域まで行けず、下流域で竿を出したので、今回は雪の装備でリベンジ釣行という訳だ。それが、また私の魂を熱くさせていた。
 4月の南アルプス近辺はまだまだ寒く、ヤッケ・バカなが・登攀具をザックに詰め、アイゼン・ワカン・スノーバーをザックに吊るしてガシャガシャと山道を歩いた。やはり途中から雪が深くなってきた。春の雪は腐っていて、足がズボズボとはまる。それでも目的の水域まで到達し、冷たい沢へ立ち込む。両岸が切り立った所が多いので、どうしても冷たい流れに立つことが多い。辺りは雪で真っ白だ。裸眼では目にしみる程だ。 膝までの雪に立ち、振り込む。程よい流れの落ち込みで、ミミズを岩下へ流す。 ぐう〜ん 鈍いアタリ! 「んん〜っ」と息を殺し、竿を寝かせて岩下に潜り込まれないように引きずり出す。水面に、鼻が曲がり顎がシャクレた雄ヤマメの顔がでた。続いて、ドヨヨ〜ンと40cm級ヤマトの魚体が姿を現した。
私はビビった。 辺りには獲物を引きずり上げられる程の緩やかな岸辺は無く、膝までの雪から出て流れに入る。 その時、糸のテンションを緩めてしまったのだろう。取り込みにかかろうとしたこの大物に岩下深くへと潜り込まれた。糸も0.8だし何とかなるだろう、とさほど慌てることなく竿をしならせて堪えた・・・つもりだったが、 スポーンと仕掛けが宙に舞った...。

 時間が止まった。ヘタり込んだ。
どの位呆然としていただろうか、針は付いている。掛かりが浅かったんだろう。気を取り直し、2・3度このポイントで粘ったが、やはりアタリは無かった。ひとまず諦めて帰路でまた竿を出そうと思い、釣り上がっていく。
しばらくすると、そこはもう一面の銀世界、水面を雪が覆っていて釣りが困難なものとなっていた。そのうち雪面が凹んだ所があるので近寄ってみると、ぽっかりと穴が開いていて直径3mの円形の水面が見えていた。ここを最後にしようと、一番大きなミミズを針に付けて、4m上の雪上から穴に落とす。 ワカサギの氷上釣りみたいだな、と思いつつ水面を眺めていると、ススーッと黒い魚影が白い雪の縁辺りをかすめた。先程の反省もあって、餌を突付くのを感じながら遅アワセを心掛けた。「飲め、飲め、深く飲み込め」と呪文を唱え、グツッ としたアタリであわせた。ツンツンと念入りの二度アワセだ。

雪下に入られない様に気を付け、魚影を確認。先程のほどではないが、ソコソコのサイズだ。これは引き抜くとヤバいな、と思い、キックステップで穴を降りていく。雪がユルユルなので気が抜けない。仕掛のテンションを保ったまま4m下の水面までたどり着き、獲物をタモですくった。
 ヤマトイワナだ!降りてきたステップに慎重に足をのせて登り、穴から脱出。メジャーを出しサイズを測ると、36cm。喜んでいいサイズだが、先程は40cm級の大きさをバラしただけに、喜んでいいのか悔しいのか複雑な心境だが、、、ボーズよりいいか。 丁度、風雪が強くなってきた為、引き返して先程バラした場所で竿を振るが、やはりアタリはなく渓を後にした。
帰路も大腿部までの腐った雪を掻き分けながら、「バラしたのは、もっとイカかったなぁ」(イカい=大きい)と複雑だった。  結果、28cmの2匹を塩焼きで食い、36cmは自作剥製となって壁に掛かっている。


 
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